ディーゼルしんちゃん

torimori2006-07-14

少し前の話になるが、今年のル・マン24時間耐久レースで、ディーゼルエンジンを搭載したアウディディーゼルエンジンとして初優勝した(アウディ自体の優勝は3年連続・6度目)。ディーゼルエンジンといえば、馬力はあるがスピードが出ないというイメージが定着しているが、もはやスピードにおいてもガソリンエンジンと同等の域にまで達していることが、世界最高峰のレースの一つで証明された訳だ。
元々、日本と違ってヨーロッパではディーゼル比率が高い(5割位のはず)。高級車とされるメルセデス(社名の最後にDが付くアレ)をはじめ、各メーカーともディーゼルエンジンを主力としてラインナップしている。環境対応エンジンとしては、ハイブリッド車ではなく、ディーゼルエンジン車が最有力とされている。
しかし、日本車はどうかというと、かつては主要な車種にディーゼルエンジン車がラインナップされていたものの、現在は壊滅状態だ。確かに、かつてのディーゼル車は排気ガスが黒かったし、うるさい割には遅かった(馬力はあるので市街地の走行上は何の問題もない)ので、ユーザーの評価が低かったのも仕方がない。しかし、「コモンレール方式」という新型エンジンの登場以来、元来の長所である炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)が大幅に少ないことに加えて、欠点だったスス(PM、粒子状物質)や窒素酸化物(NOx)の発生が大幅に抑えられるようになり、ガソリンエンジンよりはるかに環境に優しいエンジンになった。
にも関わらず、相変わらずディーゼルエンジンの存在は無視されたままだ。もちろん、旧来型のエンジンを搭載したトラックが多数走っていることもあるだろうが、一番大きいのは、やはり我らが都知事・慎ちゃんこと石原慎太郎氏の、ペットボトルに入ったススを振り回し、更には撒き散らした「あのパフォーマンス」だろう。これが、銀行税で世論を味方に付けた慎ちゃんのパフォーマンス第2弾だったのだが、意外と世間の関心は低く、あまり賛意も得られなかったせいか急速にトーンダウン。しかし、結局都内へのディーゼル車の都内乗り入れを規制するなどの一連の施策だけは導入された(こういうのを、自分だけ良ければよしという「身勝手」という)。
このパフォーマンス以来、そもそもディーゼル車のメリットを冷静に語ること自体がタブー化されているような印象すらある。しかし、冷静に考えれば、今こそ新型のディーゼルエンジンを搭載した車の導入を積極的に推進すべきではないだろうか。日本では、ハイブリッド車が環境対応型自動車の切り札のように言われているが、世界的には(コスト面も含めて)必ずしもそうではないということを消費者がもっと知るべきではないだろうか?
それにしても、慎ちゃんって各所で老害を撒き散らしてるよなあ(まるで、自分で撒いたススみたいに)。この人が、未だに芥川賞の選考委員をやっていることも不思議だ。彼の書いた選評を読むと、本当、こいつの尊大さに腹が立ってくる。文壇という閉鎖された社会の中だけならいいけど、社会に対する影響の大きい政治の世界では一日も早くリタイヤして欲しいと心から願っている。