竜王戦第6局

突然だが、私は佐藤棋聖の大ファンである。あの研究将棋を否定するような力戦模様に持ち込む棋風が大好きである。
昨年の羽生−佐藤21番勝負も、(結果はファンとしては不満であるが)非常に堪能した。特に、王位戦第2局の△1二飛(2ch的にはニート飛車)の構想とか、王座戦第2局の△4三飛〜△2五歩〜△2三飛と進めて羽生王座に▲2七歩と謝らせた構想とか、誰も考えないような序盤構想は最高である。
今期に入ってからも、タイトル奪取こそなっていないものの、引き続き好調を維持。現在、渡辺竜王とのタイトル戦の真っ最中である。
しかし、流石に対局過多がたたったか、ここに来て調子を落としていることは明白。王将戦リーグの2連敗で丸山九段とのプレーオフとなったことに加えて、棋王戦も準決勝で深浦八段に負けてしまった。その合間にも、竜王戦を戦いつつも日本シリーズで郷田九段を下して優勝していることを考えれば、(羽生を除けば)十分驚異的な戦績と言えなくもないのだが、ファンとしてはやはり勝ち続けて欲しいのが心情である。
そんな中、2連勝から3連敗で迎えた竜王戦第6局。後手・佐藤棋聖の作戦は2手目△3二金であった。先手に振り飛車を催促するこの一手に対して渡辺竜王も珍しく中飛車に。封じ手の場面では折角の佐藤棋聖の作戦も失敗かと思ったが、2日目の途中から明確に大差となり、結局双方1時間以上余しての投了で佐藤棋聖の勝ち。将棋世界で、△3二金型は悪手ではないと断言していた通り、後手作戦勝ちとなった。
ここのところ、佐藤棋聖としては悪い流れで来ていたが、個人的な財務諸表論合格という出来事にかこつけて、第6局からの逆襲を信じていた私としては大満足。後は、竜王奪取、棋王・王将挑戦者決定という最高の結果を待つだけとなった。対局過多で作戦を立てるのも大変(どころか体調管理も大変)だとは思うが、ここを踏ん張り所として、2冠、いや4冠目指して頑張って欲しい。