iPod携帯

今朝の日経に「ソフトバンク、アップルと携帯で提携」という記事が掲載されていた。
4月下旬から、孫社長Steve Jobsが極秘会談を行ったという噂がネットで流れていたし、アメリカではMotorolaブランドだがiPod携帯は既に発売されているので、このこと自体に違和感はない。加入者伸び悩みに苦しむVodafoneとしては、Appleは是が非でも欲しいブランドだろう。
個人的には、何でも携帯と一体化するのは電池の持ちを考えると非現実的だと思っているので、携帯は携帯、iPodiPodでいいと思っている。私はauユーザー(INFOBAR)だが、別に今後買い換えてもLISMOを使う気はあまりないので、iPod携帯にもさして興味はない。
この記事で一番気になったのは、実はAppleブランドの携帯が出るということではない。製造をアジアのエレクトロニクスメーカーに委託するという部分だ。
以前、ベストセラーにもなった藤本隆宏「能力構築競争」中公新書)の中に、日本のもの作りの特徴として、自動車産業軽薄短小な家電製品などの様々な調整が必要な擦り合わせ型もの作りには強いが、パソコンなどの既存パーツを組み合わせるだけのモジュール型もの作りには弱いという分析があった。
このこと自体は、確かに一理あると思ったが、ここでちょっと待てと。携帯って、「軽薄短小型」じゃないのか? あれだけ小さいスペースにどんどん付加機能を入れ込むというのは、正に日本人の得意とするところだろう。現に、シェアは別として、機能面では日本の携帯は確実に世界一だろう。にもかかわらず、自動車のように世界を席巻できずに、狭い日本の中でしかシェア争いをできないのはどうしてなんだろう。
よく言われるのが、豊穣な日本マーケットで満足しちゃってて、世界に打って出るという意欲に欠けるという論調がある。しかし、Sony Ericssonのように、世界を見据えた合弁会社でも世界シェアは精々7%程度で、NokiaMotorolaは言うに及ばず、Samsungにも大きく後れをとっているのが実情だ(それでも日本勢ではトップ)。こうなると、他の要因があると考えるべきではないのか。
個人的には、オーバースペックな日本の携帯は、価格面ではむしろ競争力がないのではないかと思っている。日本は携帯端末の販売がキャリア主導なので、手厚いインセンティブがあって高性能な携帯も安く売れるが、海外ではそうはいかない。そうなると、現地向けに全く異なる機種を開発する必要が出てくるので、シンプルな携帯でも他社より高くついてしまう。こんなところではないか。
大体、狭い日本だけでシェア争いを繰り広げたって始まらないだろう。一体何社が携帯作ってんだよ。どこか一社でも、iPod携帯のOEM生産に名乗りを上げる日本企業はないもんかね。たぶん無理だろうな、自社製品へのこだわりを捨てられないだろうし。瀕死のSANYO辺りが思い切れば面白いんだけど。韓国か台湾のメーカー製になるのがオチではないかな、残念だけど。