宅建受験記(三)

それでは具体的な勉強方法について。
その前にお断りしておくが、実は宅建の受験はこれが初めてではない。と言っても、15年くらい前に会社の奨励資格として新人のときに受けさせられただけであり、民法のところを1回読んだだけで受験した結果は惨敗だった。しかし、その後の仕事の中で民法の知識は多少は持っており、全くの初学者ではなかった点はお断りしておきたい。
さて、前回税理士試験終了から宅建受験まで2ヶ月強しかなかったということは書いたが、実際の勉強時間はどうだったかと言えば、基本的に平日は通勤時間(片道約1時間)のみ(ただし、睡魔に襲われること多し)。土日は、子供の相手等でほとんど時間なし、という状態だった(ちなみに、税理士試験の勉強はもう少しはやっていた)。故に、教材は最小限に絞らざるを得ない。
教材の選定ポイントとしたのは、過去問(肢別になっているやつ)中心だけど、各項目ごとの解説(またはまとめ)が付いているコンパクトなもの。書店で色々探したところ、有名どころはどれもボリュームが多過ぎ。結局選んだのは、東京法令出版「宅建択一パーフェクトチェック」。項目ごとに見開き2〜4ページのまとめがあり、その後に関連する10年分の過去問が肢別に一問一答形式で続くというもの。これを一通り読んで、過去問で出題されている部分はまとめページの解説にマーキングをした。
この形で一読した段階で、既に試験まで3週間となっており、焦りつつ2周目へ。今度はまとめに目を通した後で過去問を解き、不正解のもの(○×が合ってても実質的に間違っているものも含む)についてはチェックするとともに該当する解説部分にラインを引いた。
実は、この作業が終わったのは、試験の2日前。この段階で、このテキストだけでは漏れが多い(過去問で出題されていない部分が手薄になるんだから、当たり前と言えば当たり前だが)ということに焦りを覚え、市販の予想模試を購入。ポイントは時間がないので回数が多くなく、安いもの。選んだのは、成美堂出版の「宅建2005年法改正と完全予想模試」。3回分収録で1,200円とお得だった。
結果的には、これをやっておいたのが良かった。基礎的な知識は、(2回やっただけだが)テキストである程度覚えており、実際の試験形式で問題を解くことによって、曖昧な知識がかなり具体的に記憶に定着した。何しろ、やってるのが試験の前日だから、少しの間だけ覚えていれば取り敢えず用は足りる。そう思って必死に暗記した。
ちなみに、3回分の模試の点数は28点→31点→35点と確実に上昇した(問題が違うので一概に比較はできないが…)。記憶定着のプロセスが見て取れると思う。
このようないい加減と言えばいい加減な受験勉強だったが、後にして思えば、時間のない社会人にとっては、問題演習で記憶の定着を図るという方法は最適だったように思う。ただ文章を読んで暗記するというのは、正直30代後半にもなると非常にきつい。問題を解くと、自然に覚えられる(覚えられないまでも感覚で正否が分かるようになる)。後述するが、宅建は常識で判断することで解ける部分も多い。その勘みたいなものを養う意味でも、問題演習による勉強が(最短合格には)最適だと思う。
大分長くなってしまったので、分野別の攻略法は次回に。