即戦力って…

 今朝の日経一面の囲み記事の中に、大卒就職率が55%まで低下したとの下りがあった。勿論、大卒と言っても大学のランクがピンキリなので一概に論じることはできないが、はっきり言って異常な数字である。完全失業率の数字を云々している場合ではない。
 この手の数字を論じる際に、必ず最近の若者がフリーターに逃げ場を求めているとか我慢がないといった「若者にも問題がある」的な意見が出るが、問題のすり替えである。以前、採用活動に協力したときに感じたのだが、最近の若者は十分に真面目である(厳密に言えば、真面目な学生と馬鹿に二分され、中間層が減っているというべきか)。問題は、むしろ企業の側にあると思う。
 最近の大企業を中心とする採用の方針は、「新卒より即戦力」であり、20代後半の社会人教育は十分になされているが、最初に就職した企業の色に染まっていない人材が人気のように思われる。実際、中途採用も一部の例外を除くと「35歳位まで」という条件が多い(因みに35歳位までというのが実際は32〜3歳までというのは転職における常識である)。
 ここで大きな矛盾があることに気付く。新卒を教育した人材が「即戦力」化するのであり、最初の就職というハードルをクリアできない人材はいつまでたっても「即戦力」にはならない。となれば、このままの状態が続けば、いつかは即戦力となる人材そのものが枯渇してしまうのではないか。つまり、企業が目先のことだけを考えて即戦力採用に走り、新卒採用を抑制するということは、いずれ自分の首をしめる結果になるということである。ちょっと古いが、この記事が参考になるだろう。
 こんな状態で国際競争力を議論するなど笑止千万。どこか名だたる大企業で、画期的な採用方針でも打ち出してくれないかね。